- 企画段階
この創作活動は課外授業「地域プロジェクト」で我々学生チームと「ど根性ファーム」が協力したことから始まりました。何度かの話し合いを重ねた結果、「ラー油を200本以上売る」という明確な目標が立てられました。その販売促進をするためにはどんなことをしたらいいのかを我々のチーム三人で考えました。そこで私はお土産で見かけるような特殊なマグネットを作ってそれをラー油を買っていただいた方に先着もしくは抽選でプレゼントするのはいかがかと提案しました。私がチームに提案した創作物は唐辛子畑をモチーフとした風景画のマグネットとラー油瓶を模したマグネットでした。チームから共感が得られたため「ど根性ファーム」にプレゼンテーションをし、合意を貰い制作が決定しました。
- 制作するにあたって
私とチームのもう一人は主に唐辛子畑マグネットの制作に携わりました。初めは紙粘土を固めてその上から色を塗り、ニスを塗ればできると考えていました。しかし、調べてみるとお土産で使われているようなマグネットはポリレジンという特殊な素材を必要としていたため、誰かからの協力無しでは作り上げることができないと判断しました。そのときに我が校に存在するFab Labが脳内によぎりました。Fab Labとは3Dプリンターを始めとする加工工法を多く取り揃えており、学生や会社員など学校の所属関係なしに創作に協力してくださる施設です。私はFab Labにコンタクトを取り、提携を結びました。
- 制作過程
・唐辛子畑マグネット
まず「ど根性ファーム」の所有する唐辛子畑の写真を見ながら絵を描いてどんな風にするかを決め、それを元に紙粘土でモデルを形成しました。次に作ったモデルを使用してシリコンを流し込み型を作成しました。
この型は複製するときに何度も使う必要があるもののため慎重に作りました。型が完成するといよいよポリレジンを型に流し込み実物の作成に取り掛かることができます。ポリレジンを作るには素材となる二つの液体を混ぜ合わせ固める必要があります。その液体は揮発性が高く瞬時に正確な作業を求められました。また、型に流し込む際も泡を立てずにやる必要があるため、これまでの作業工程の中で一番難しかったです。ポリレジンが固まるのを待てば形は完成ですが、より多くのお客様にこの作品を届けたいのでポリレジンを作成する作業を何回か繰り返す必要がありました。
そして色塗り段階に移りますがその時点で残りの時間もあまりなく、Fab Labの方にお願いして一緒に手伝っていただきました。ただ驚いたのはその後それを見ていた多くの学生の方が我々の作業に参加してくれたことでした。そのおかげで大きく作業が進み最終段階まで進みました。手伝っていただいた方には後ほどマフィンをプレゼントさせていただきました。最後は塗り終わった作品にニスを塗り裏に磁石を貼って遂に完成させることができました。
・ラー油瓶マグネット
こちらの作品はチームのもう一人である3Dプリンター係に任せました。まずFab Labから3Dプリンターを貸していただき瓶の部分を作成するところから始まりました。ただそのためには3Dモデルを形成する必要があり、かなり大変作業だったと聞いております。瓶を完成するとラー油を再現するために中に赤い液体を入れました。この時点でかなり完成に近づいていましたが、私はそこでさらに本物に似せるためにラベルを貼って、紙でふたの部分を包み、それを紐で結んでみたらどうかと提案しました。ラベルは三人で分担して描きました。ここまで完成に協力してくれたFab Labの皆様、その他学生の皆様に感謝しました。
- その後
ラー油を買ってくれた方にプレゼントをするという趣旨で作られた作品ですが、チームの中で話し合いを続けた結果、そんなに多くの複製はできないということから「ど根性ファーム」との親睦会で渡すということが決まりました。親睦会ではそれを見た方達は驚き、子ども達は大いに喜んでくれました。
- 番外編
「ど根性ファーム」との連携を続ける中、我々のチームは実際にMyラー油を作る機会を頂きました。ラー油についてもっとよく知るということで「ど根性ファーム」は我々を畑での作業や唐辛子の仕分け、ラー油瓶に唐辛子とラー油を入れる作業に参加させてくれました。その過程でラベルを1人二つずつ書いてそれを作ったラー油に貼り、その完成品をプレゼントしていただきました。ここまで我々にたくさんのことを教え、共に目標に向って連携してくれた「ど根性ファーム」にお礼を申し上げます。